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私のきっかけ ― 『竜馬がゆく』著:司馬遼太郎

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。



… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター 

株式会社Inspire High 杉浦太一

CEO / Founder

1982年生まれ。東京都出身。大学在学時にCINRAを創業し、2006年株式会社化、代表取締役に就任。『CINRA.NET』などの自社メディアの事業運営や、官公庁や地方自治体、大手企業のブランディングやマーケティングに従事。2020年、Inspire Highを立ち上げ分社化。Business Insider主催『BEYOND MILLENNIALS2021』の「Culture x Business」部門でグランプリや、2023年Forbesの『NEXT100』受賞。好きな言葉は想像力。

https://www.inspirehigh.com/





     人生のきっかけ    
 『竜馬がゆく』著:司馬遼太郎

 こんな人に読んでほしい 
 本当の自由を獲得したい人

 こんな風に読んでほしい 
 長ければ、映像作品からでも

坂本龍馬と言えば、「幕末の英雄」「大政奉還の立役者」など数々の異名とともに、その名を歴史に刻んだ人物だ。彼の大局を見据えたビジョンは先進的でありながら、多くの人を巻き込み、日本を時代の転換点へと導いた。その知名度と人気を確固たるものへと昇華させたのが、長編歴史小説『竜馬がゆく』である。
創作としての歴史物語と史実の整合性については議論の余地があるとされているものの、作中描かれる彼の生き様は、大胆な発想と行動力をもって社会を変える人物の代名詞となっている。真の自由を生きた人・坂本龍馬の物語に触発されたと語るビジネスパーソンは多いが、杉浦氏もまたそのうちの1人だという。常識や立場にとらわれず、若くして理想を実現していくその人生譚は、いつの時代も人を魅了しつづけるのだろう。



きっかけの紹介

きっかけとなった作品はありますか?

マニアックな本は山ほど読んできたのですが、事業家としてのベースは司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』という小説にある気がしています。この本は孫正義さんも100回くらい読んだと仰っていましたが、僕にとってもすごく重要な本かもしれません。


人生の思考の変化

その作品との出会いは?


20代の中盤ぐらいかもしれないですね。事業を始めてから、それこそドラッカーとか『ビジョナリー・カンパニー』とか本当にいろいろなビジネス書を読んできたなかで、孫さんが言及していたのかな。じゃあ、読もうかなと手に取ってみたら、坂本龍馬はとんでもないなと思って。


本当の坂本龍馬がどうであったか史実は諸説ありますが、ただ対立していた勢力を結びつけたり、自分には全く見えない海の向こうの世界のことを想像して、今後の日本がどうあるべきかを考えたり、本当にすごい人だなと。そんな彼が岩崎弥太郎とともに三菱財閥の原型になるような会社を作ったことも、彼にとっては本当に手段でしかなくて、作りたい日本の姿のために必要な手段だったからたまたま会社や事業を作っただけだった。


自分もそういう感覚で事業を作っていきたい、目指すビジョンを実現するための手段として起業や経営者という属性が必要だっただけなので、そういった感覚を教えてくれたのは坂本龍馬という存在でした。


作品が影響を与えた行動

その作品から何を得ましたか?


やっぱり大志を抱くということだと思いますね。常に大きなビジョンの中で判断や行動をしていくことは、自分の思考パターンとして身についていると思います。


事業の意思決定っていろいろな脇道が多すぎて、目先の何かに動かされないようにするというか、全てをビジョンに繋げられるように意思決定をしないと、ついつい脇へ行ってしまいそうになるんです。


寄り道くらいだったら結果的に目的地へ行けるのでいいのですが、脇道へ入って結果そのまま戻ってこないみたいなことも結構あって、そうならないようにするためには、やっぱり「ここへ行くんだ」という一つのパーパスやビジョンがあるということが重要だと思っています。




杉浦太一の生き方がここに


世界平和を教育から始める
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