Focus On
小原一樹
シルタス株式会社  
代表取締役
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …
株式会社DROBE 山敷守
代表取締役CEO
1987年生まれ。東京都出身。東京大学在学中、学生向けSNS「LinNo」を立ち上げる。2010年、新卒でディー・エヌ・エー(DeNA)に入社。ヤフーとの事業提携などを成功させた後、無料通話アプリ「comm」の立ち上げプロジェクトの責任者に。2016年にBCG Digital Venturesの日本拠点の立ち上げフェーズから参画し、様々な大手企業との新規事業開発に取り組む。2019年4月DROBEを設立し代表に就任。
『謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦』須田将啓・田中禎人 世の中の常識を超える挑戦に興味がある人 起業のリアルを自分事のように感じながら |
いつの時代にも、いわゆる「理想の人生像」のようなものはある。たとえば「いい大学に入り、いい会社に就職する」という風に、それらは少しずつ形を変えながらもまるで定石かのように人々の認識に在りつづける。「いい大学」に身を置けば尚更そうだろう。それでも周りに流されず、スタートアップという新しい生き方へ一歩踏み出したと語る山敷氏。 2008年頃、まだ起業やスタートアップという概念が今ほど市民権を得ていなかった時代、この本は書店に並んだ。実態も知られぬままに、「リスクが高い」「自分には関係ない」とか決めつけられがちな起業の実録を、当時の起業家の実体験を辿ることでリアルに感じることができたなら、あなたの中にも何か変化が生まれるかもしれない。 |
『謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦』という、エニグモの創業者である須田さんが書いた本があって、影響されましたね。須田さんがどういった思いでエニグモという会社を立ち上げようとしたのか、どんな風に会社を立ち上げたのかが自伝的に語られています。
特に、今との違いでいうと当時はスタートアップ企業や新しいインターネットのサービスは訳の分からないものだったので、起業しても周囲に反対されたりするなかで、自分で会社を形作っていく、自分の選択を正解にする、そんな精神性がこの本のなかでも表れていたと思います。
当時、スタートアップ企業の社長が書いた本が少しずつ世に出てきていて、ライブドア時代の堀江さんの本とか『社長失格』とか、これ以前にもいろいろあったとは思うのですが、マイナーだからこそなのか、この本は読んだ当時の記憶のままに残っているんです。
出会いは、大学時代所属していた起業サークルだったのかな。『ビジョナリー・カンパニー』がおすすめだとか、スタートアップやビジネスに関する書籍の話はコミュニティ内で多かったように思います。もしくは、友人が読んでいたものを貸してもらったとか、居候していた友人の家で読んだのか、そんな感じだったと思います。
もともと自分があまり裕福ではないという実感があるなかで育ったので、きちんと稼ぎたいという気持ちがあって。中学校、高校ぐらいまでは勉強していい大学に行って、いい会社に行くことが当たり前の価値観で、周りの東大生も商社やコンサルティング会社などを受けていました。
スタートアップ企業やIT業界は、今では割と一つの道になっていると思うのですが、当時2007、8年頃はそうではなかったと思っていて。この本を読んだことで、ゼロからスタートアップ企業を立ち上げていくという道があるんだということが、より明確に意識されたと思います。
大学在学中に起業サークルで活動したりフリーペーパーをつくったり、あとは会社を経営していたこともありましたが、どこか最初はアルバイトの延長のような、アルバイトという形ではない割のいいお金を稼ぐ手段のように感じていた部分はありました。思い返すとそうではなくなったきっかけは、新卒でDeNAに入るという選択ができたことが大きかったように思いますし、この本はDeNAに入るきっかけになっていたのかなと思います。
周りの人が就職活動をしていく時も、自分が(大企業に就職する)流れに飲まれなかったのは、この本を読んで「まぁいいや、こういう生き方もあるよね」という風に思えたからじゃないかと思っています。
この本以来スタートアップ企業の社長本が好きで、見つけたら基本的に読むようにしていますね。
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ハヤカワ五味
株式会社ユーグレナ  
サステナブルブランド戦略室ブランドマネージャー