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or運動不足に悩めるすべての人に朗報がある。
わざわざ運動しようと意気込まなくていい。そんなに気軽な気持ちで始めていいのかと疑いたくもなる。無理なく始めて、健康に近づける。
どうしてそんなに無理なくできるのか。
ここでは、ハナマルキで取締役マーケティング部長兼広報宣伝室長を務める平田の休日の過ごし方から、気づいた時にはダイエット・健康につながっている「サンポーキング」を見てみよう。
鏡の中から、無表情な自分が見つめ返してくる。メタボとまでは行かないけれど、最近体が重く感じるし、お腹周りの肉も気になっている。
なんとかスーツでカバーする体型。そういえば、血糖値、コレステロール値が上がり始めた。気のせいか、昔より疲れが取れにくくなっているような気もしてる。
かれこれ長いお付き合いになるこの体。そろそろ労わってあげた方がいいのかなぁ。何か体を動かした方がいいんだろうなぁ。頭の隅でそう思う。
気乗りしないのは、すでにいくつか試したことがあるからだ。
運動は、何をやっても憂鬱になる要素がどこかに潜んでいる。
水泳は全身運動だから良いらしい。どこかで聞きかじって始めてみたことがある。ひとしきり泳いでプールから上がろうとしてびっくり!水から出る体が重い!気がつくと、全身どっと疲れてる。終わりのシャワーも面倒で、濡れた水着がぴたっと体に張り付く感触は気持ち悪い。気づけばプールからは足は遠のいている。
次なる試みは定番のランニング。近所でできるし、水着もない。走り出すと普段は感じない風を感じられて気持ちいいけれど、いかんせん息が切れてくる。走って自分がハァハァ言うのは嫌だ。汗もかくものだから、わざわざ着替えるのも面倒くさかった。気づけば足取りは重い。足は素直で、大人しく帰りたくなっている。もはや、ランニングの恰好で玄関の戸を開けることはないだろう。
そうか、一人だからダメなのかもしれない。
一念発起。ジムに入会してみたこともある。ウェアに着替えてストレッチ。気合いを入れて、トレーニング器具を持ち上げる。いや、これがしんどい!腕がプルプルして耐えられない。いや、そこまでしなくていいんだよ。結局、ジムもダメ。どうも前向きになれません。
世の中の人って、どうやって健康を保っているんだろう?すっかり自信を喪失した帰り道、頭をひねる。体を動かすと言っても、もう自分は歩くことくらいしかできないかもしれない。
……歩くことくらい??!
そういえば実家にいる母親は、77歳なのに元気いっぱい。なぜだろう。何か特別な運動でもしているのか?そうでもなさそうだ。広島にある実家を思い出す。母の生活はどんな感じだったろう。家の近くにはスーパーも何もない。広がるのは一面田舎の風景。母の日常はちょっと近所でも浮いている。普通はみんな車で移動する距離なのに、どこでも一人で歩いて行ってしまう母だった。いくら車の免許がないからって……。
そうか、歩くことなのか。
母は運動なんてしていない。体を動かすと言っても、ちょっと遠くのスーパーや病院まで歩くだけ。いや、その歩くだけが母を健康にしているのか。
ちょっと遠くまで行ってみる。うん、それならできるかも。
それに、これまでの運動遍歴を思い返してみると、自分は総じて着替えることが嫌だった。これなら着替える必要ないし、むしろ運動とすら思わなくていい。
だまされたとでも思って、ちょっとやってみようか。どうせなら、そこにいくらかの楽しみも添えて。散歩以上、ウォーキング未満。これを「サンポーキング」と名付けることにしよう。
―目次
サンポーキング導入編:休日を楽しもう
サンポーキング基本編:無理をしない
サンポーキング応用編:仕事にもいい
「サンポーキング」を始めるために必要なものはと聞かれたら、「何にも必要ありません」と答えます。
汗をかいたとき用の着替え?ウォーキングシューズ?今度こそ痩せるという決意?どれも必要ない。意気込みなんて置いといて、まずは楽しむことを考えよう。
道すがら音楽や英語を聞くのはどうだろう。一石二鳥で得した気分になれる。それから休日の朝に、外でたしなむコーヒーも素敵。もちろん、何も考えずに景色を楽しむのもあり。
行き先は何でもいい。わざわざ準備して出かけて行くほどでもないけれど、気になっていたちょっと遠くのカフェや、緑が気持ちのいい公園。最寄りのコンビニじゃなく、一つ先のコンビニにしてみてもいい。
気分が良ければ、今日はちょっとそこまで行ってみませんか。ほんの少し足を延ばせば、意外とワクワクスポットがあるはずです。
■服装
構えずそのままの普段着。家にある普通のスニーカー。
(夏はTシャツ、短パンでやっています)
■目的地
自宅から2.5キロ先まで。往復5キロ。
4つほどコースがあり、ローテーションしている。
■耳読書
サンポーキングをしながら、好きな音楽や英語のニュースを聞いている。
(歩くと脳の働きがよくなるので、勉強にも充てられる)
■途中の息抜きもいい
毎週土曜日は、道中にある外食店で朝食を取ると決めている。
(終わったあとは、コンビニのカフェでコーヒーを飲む。体を動かした満足感も相まって、とってもいい気分)
■SNSに投稿
Instagramを利用して、天気のいい日は綺麗な風景を撮影し、投稿。ハッシュタグは「#サンポーキング」。今でもこれも欠かせない楽しみに。
こんなに効果があっていいんですか?!
痩せることを目的にしていたわけではないけれど、なんだか心なしか体が軽いよう。気の向くままに毎週末出歩いていただけの1か月。体重計に乗ってみると、なんと2kg減!そんなに減らなくてもいいかもと、ついでに控えていた甘いものを解禁して自分を甘やかす。それでも半年経つと、ベルトがゆるゆるに。
まさか手持ちのベルトが使えなくなる日が来るなんて。役目を終えたベルトを一本手に持って、厳かにハサミを入れる。お疲れ様でした。ついにベルトを切っちゃったよ。これはすごい。
結果が出てくると、自然と継続したくなっている。逆に結果を求め過ぎると、続かなくなってしまうかも。何事も最初は成果が出ない。体重計はしまっておこう。
やっぱり無理なく続けられること。これが一番。何歳になってもできるサンポーキングは、長寿の運動と言えるかもしれません。
■靴は最初から揃えない
長続きするか分からなかったので、新しいスニーカーは買わず、古いスニーカーそのままで。
(これが意外と長続きし、かかとが外れてパカパカになってしまった。半年後、2足目はご褒美としてランニングシューズを買った。ウォーキングシューズよりも軽くていい感じ)
■成果は求めない
最初は体重計には乗らない。
■甘いものも食べていい
我慢しない。それでも体重は落ちました。
■いつどのくらいやるか
毎週土日の朝。それぞれ5kmずつ。それ以上は歩かない。ただ、必ず欠かさずに、です。
(続けることが何より大事と心に置いておく。最初の3か月はきついのですが、我慢。3か月を超えると楽になってきます)
■(さらなる健康を望むなら)食事の管理
私の身長、体重から一日に必要なカロリーを計算すると、やはり食べ過ぎていたことが分かりました。そこからお昼はいつも軽くして、おにぎり1個とサラダとみそ汁だけにしています。
(これには仕事中、午後眠くならないという副次的効果あり)
一日に必要な推定エネルギー必要量は、以下の計算式で求められる。 ①基礎代謝量×②身体活動レベル ①基礎代謝量(kcal/日)とは「基礎代謝基準値(体重1kgあたりの基礎代謝量の代表値) × 参照体重(該当年齢の平均的な体重)」のこと。②身体活動レベルとは、一日の活動量に応じた3段階の指標のこと。 |
朝の静けさの中をひたすら進む。
すると、どうだろう。普段は意識しない新鮮な感覚がする。みずみずしい空気の匂い。雨上がりは特に最高だ。どこかで鳥が鳴いている。新緑の緑はこんなに柔らかい色をしていたんだな。道行くだけで、こんな心地がするなんて。サンポーキングをするまで知らなかったことばかり。
自然と目に入るもの。公共施設は素晴らしい。街や人の生活も良く見えて、仕事の参考になることも。気づくと無心になっていて、良いアイディアが浮かんできたりする。
そうそう、こうしていると仕事の考えも整理されるらしい。ちょっとしたお題をもって出かけてもいい。
スタンフォード大学の研究*2によると、歩いていると人はより創造的になるらしい。
スタンフォード大学の研究者たちによると、人は座っているときよりも歩行しているときの方が創造的なアウトプットが平均で60%増加するという。アップルの創業者である故スティーブ・ジョブズも、歩きながらのミーティングを好んだことで知られている。 歩行による創造的能力の向上は、屋内、屋外を問わず見られる。つまり、歩行すること自体が重要なのであり、環境の差異は結果を大きく左右するものではないらしい。新しいひらめき、アイディアを探すなら、ただじっと椅子に座っているよりも歩いてみた方がいいのかもしれない。 |
ときどき息を深く吸って吐く。きつすぎず、楽すぎない。体が適度な疲労を喜んでいる。血流がよくなって、頭はすっきりリフレッシュ。少し体がしんどいときこそ、サンポーキングで楽になるということも初めて知りました。
「運動が長続きしない」。それなら一度試してみてはどうですか?これ、おすすめです。
■コース選びのポイント
①坂道がないこと。極力、平坦な道にする。
②自転車や人通りが少ないこと。信号もない方がいい。
③できれば景色は綺麗な方がいい。
(最初のうちは一番歩きやすいコースを模索して、いまでは4つのコースが完成しています。それすら面倒に感じたら、とにかくあなたの気が向くところに行くだけでいい)
運動も仕事も、努力が長続きしないときの原因は何なのだろう。
自分の心に問いかけてみる。着替えが嫌。日焼けが嫌。人に見られることが嫌。漠然としたものに対しては手の打ちようがないけれど、正体が見えているならやりやすい。意外と言葉にしてみると、それぞれ潰していけることだったりするものだ(意外とそれを潰しにいってないだけだったりもする)。
苦手なことならなおさら無理をしても続かない。どうにかして自分がやりたくなるものにしてしまうこと。自分を誉めたり、ご褒美を用意したりしてもいい。楽しみを優先し、習慣化してしまえば、もはや運動ではない。週末の楽しみが健康につながっている。
運動も仕事も勉強も、嫌なことを楽しいことに変えてしまえば続けやすくなる。ただそのものへの見方が変わるだけで、努力が努力でなくなっていく。そうして積み重ねたものが、いつか花開くのだろう。
続けることの価値を知っている平田氏だから生み出せた「サンポーキング」。
近所に気になる公園ってあったかな。週末どこへ足を延ばそうか。
*参考
1 日本医師会「健康になる!一日に必要なカロリー『推定エネルギー必要量』」,< https://www.med.or.jp/forest/health/eat/01.html > (参照2019-9-4).
2 May Wong(2014)「Stanford study finds walking improves creativity」,< https://news.stanford.edu/news/2014/april/walking-vs-sitting-042414.html > (参照2019-9-4).
平田 伸行
ハナマルキ株式会社 取締役 マーケティング部長 兼 広報宣伝室長
広島県出身。広島大学経済学部卒業。1990年、株式会社リクルートに新卒で入社。人材採用広報の制作ディレクターを経験後、新組織の立ち上げや自社の宣伝を担う。2010年より、急成長中のアパレル企業に移り、宣伝広報部門の立ち上げを担った後、執行役員社長室長に就任。急成長期にあった同社の組織体制強化を任され、人事・システム・CS窓口など全方位的に体制の見直し・強化をおこなう。その後、2013年6月よりハナマルキ株式会社に参画。
▼平田伸行の生き方がここに |
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