Focus On
大塚裕斗
株式会社Fixx  
代表取締役社長
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …
株式会社プラゴ 大川直樹
代表取締役
1980年生まれ。東京都出身。2002年慶應義塾大学法学部卒業。株式会社電通に入社し、携帯電話市場におけるマーケティング業務に従事。2007年子会社のインタラクティブ・プログラム・ガイド社(現IPG社)に出向し、放送通信連携に関わるベンチャー企業の経営に携わる。2010年大川精螺工業株式会社入社、取締役就任。2013年メキシコに駐在し、現地法人・工場を立上げ。2018年より日本に帰国し、代表取締役に着任。同年、株式会社プラゴを設立。
『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』 チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン イノベーションを起こすため、一歩踏み出そうとしている人 これまでの自分の経験を整理しながら |
一見すると本業には全く関係のない実験的試みや、遠くへ旅に出ること。そのような行動に対し、否定的な見解を示す人がいるかもしれない。しかし、どのような経験も「探索」に繋げることができたなら、新たなイノベーションが生まれるきっかけになる。 約80年続く家業の代表取締役を退き、未踏の領域であるスタートアップ企業へと一歩踏み出した大川氏。この大きなチャレンジに挑めたきっかけとして、本書を通じて得られた視点を挙げる。偶発的な出会いを生むものは自分の意思と行動にほかならない。本書を手に取ったという偶然もまた、実は必然だったのかもしれない。 |
僕の人生にとって最も大きな決断は、家業を辞めてスタートアップ企業を立ち上げたことだと思っているのですが、この決断を後押ししてくれたのは『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』という本ですね。
既存の認知範囲を超えて、更に認知を広げる「探索」、一定分野の知を継続して、更に深堀していく「深化」、これらがイノベーションを起こすきっかけとなりパフォーマンス向上にもつながると記された、イノベーション研究における解説書です。
監訳者である入山章栄教授とはいろいろお話させていただいたこともあるのですが、日本でイノベーションを起こすには、やはり同書のような視点が大事だということを確信しました。今、プラゴというチャレンジができているすごく大きなきっかけになったと思っています。
2019年くらいですかね、家業とプラゴ、2つの会社を同時経営している時期に本屋で偶然手に取りました。
もともと自分の特性としても「探索」の視点を持つべきだと考え行動してきたので、この本を読んで変わったというよりは、むしろ後押しされた、承認されたという感じですかね。
日本の製造業に目を向けても歴史が長い企業が多く、過去にはさまざまなイノベーションを起こしてきましたが、現在はどちらかという「深化」、深く掘る方にほとんどのリソースが割かれていて、改善することや、いかに原価を安くするかが重視される傾向があるように思います。それはそれですごく大事なのですが、大きなイノベーション、要は「探索」の方にあまりチャレンジできていないと思うんです。これはうちの家業も同じでした。
ですが、やはり私は「探索」に重点を置くべきだと考えています。より遠くに行ってみるとか、私の場合、メキシコに行って少し本業と離れてイノベーションのきっかけを作っていったことが結果として良かったと思いますし、プラゴの経営に専念するにあたり、家業を弟に頼むことができたのも本書を通じて得た視点があったからだと思います。
こういったビジネス本は基本的に後付けで納得するものだと思っていて、自分がやってきた行動を振り返り整理する機会であるとも思っています。
プラゴを起業する前、家業でメキシコ法人を立ち上げたり、現地で日本食弁当屋をやったりもしたのですが、そんなこと普通はやらないですよね。だけど探求したかったので、やってみたいと思ったことをやっていました。そういった経験も、振り返って今に繋がっていると思えています。
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