Focus On
小林亮太
一般社団法人IXSIA  
代表理事
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or行動を起こす。きっかけは、あなたのなかにある。
旅に特化した女性向けWEBマガジン「旅MUSE」は、有名モデルや人気インフルエンサーなど旅を愛する女性たちが旅の記録を綴り、読者が旅行計画の参考にできるよう実体験を元にした信頼性の高い情報だけを発信する。旅行会社の女子旅ツアーをプロデュースするなど、多様な旅のあり方を提案。同メディアを運営するバリーズ株式会社は、いまや20代後半から30代前半の女性の海外旅行促進に取り組む企業として、世界各国の政府観光局や旅行業界などから注目を集めている。自身も旅を趣味としてきたと語る、同社代表取締役の野々村菜美が提案する「行動のきっかけ作り」とは。
目次
いつもと違った服を着て、初めての街を歩いてみる。言葉は通じなくても、見慣れぬ料理や景色は楽しめる。ふと耳を澄ませれば、どこかから聴いたことのない音楽が流れてくる。知らない土地で、知らない世界と出会う旅。けれど一番の大きな出会いは、新しい自分自身との出会いなのかもしれない。
旅へ出よう、世界を見に行こう。そんなメッセージを若い女性に発信し、一歩踏み出すきっかけを与えてくれるバリーズ株式会社。同社が運営する海外旅行専門の女性向けWEBマガジン「旅MUSE(たびミューズ)」は、旅を愛する女性たちが綴る実体験を元にした信頼できる情報と、いますぐにでも旅に行きたくなるようなハイセンスな写真で、海外旅行の魅力を発信している。去年からは各国政府観光局から依頼を受け、女性のトレンドや厳選スポットだけを取り入れた特別なパッケージツアーをリリースした。
同社代表取締役の野々村氏は、外資系化粧品会社の販売員として大手百貨店にて勤務し、BtoC企業における営業企画、販促、MD計画などの業務を経験。のちに顧客のニーズを自らの手で形にしたいという思いから、ランジェリーブランドの商品企画部にて、オリジナルコスメブランドの立ち上げや、カタログのエディトリアル全般を担当した。自身も大好きだった旅という領域において、20代の女性に真に必要とされる旅メディアのあり方を構想。思いを実現するべく、2014年にバリーズ株式会社を創業し、翌年シリアルアントレプレナーである経沢香保子氏から女性起業家として初めて出資を受けた。
「いろんな人と出会ったり、いろんな本を読んだりすると、自分では考えていなかった新たな選択肢ができる。新しい選択をして、失敗もありますが小さな成功体験を重ねると、さらに良い選択肢が広がる。そうなると、自分にいい循環が生まれると思うんですよね」
アグレッシブに行動してきた野々村氏の人生に迫る。
旅は、自分の狭い世界を広げてくれる。たった数日間の海外旅行で、想像もつかないほどの出会いや気付きがある。
「自分の生きている世界って、すごく狭いと思うんですよ。海外に行くとすごくショックなこともたくさんあるし、ぼったくられることもある。でも、そこでしか感じることができないことがたくさんある。旅は自分の世界を広げてくれる最高のきっかけだと思うんですよね」
(出典:旅MUSEより)
普段の生活では決してできない体験や、未知の世界との遭遇が海外旅行の醍醐味だ。新しい価値観に触れて考え方が変わったり、悩みつづけてきたことへの答えが見つかったという経験をもつ人も少なくないのではないだろうか。そんな海外旅行に、いま若い女性が行かなくなっているという。
「旅行会社さんや政府観光局さん、いろんな旅行業界の方のお話を聞いたり、データを見ても、若い人たちが海外旅行に行かなくなっている。本当に危機だなって思うんですよ。だからこそ、『旅MUSE』がきっかけで、海外に行く女の子たちが増えたよねっていう世界観を作りたいと思っています。旅行に行った人たちが旅行を嘘偽りなく書いてくれて、それを見た別の人たちが『ここいいね』って言って、そこに行ってくれる。そういう流れを作りたいと思っています」
インターネット上にあふれる情報や口コミは、そのすべてを信頼できるとは限らない。発信者の顔も見えないまとめ記事などの旅の記録では、若い女性の心は動かせない。自身の体験からそう確信した野々村氏は、以前より参考にしていた人気ブロガーやインスタグラマーにオファーし、「MUSE(ミューズ)」として同WEBマガジンへ迎え、旅行記を綴ってもらっている。
「旅行メディアは他にもたくさんありますが、旅MUSEはこだわりのある女性をターゲットとし、見ていて夢が膨らみ、楽しくハッピーになるようなメディア作りを目指しています。海外旅行って頻繁に行けるものではないので、やっぱり情報の信頼性って大事ですよね」
MUSEたち自身の声で綴られるリアルな旅行記は、「行き先を決めてから、ガイドブックを見る」のではなく、ヒトやコトを起点に「次回の旅行先を探す」という新しい旅のスタイルを提案している。それは「目的地から探す旅」ではなく、自分に合った「人から探す旅」である。
2017年7月に出版された「旅MUSE」初の書籍『MY TRAVEL RECIPE–私らしい旅のつくり方-(光文社)』。パリ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ハワイの4都市を特集し、それぞれの街の楽しみ方、モデルプランやフォトジェニックスポット、写真の加工方法まで、まさに大人の女性の旅の教科書と呼べる内容となっている。
思い立ったらすぐに行動する精神は、父から受け継いだものかもしれない。広い世界へと向かう行動力は、野々村氏のなかで自然と生まれたものだった。生まれ故郷の福岡は、東京よりも韓国の方が近い。野々村氏にとって、幼いころから海外というものは身近な存在だった。高校は国際教養課へと進学した。
「高校2年生のときに、ニュージーランドにホームステイをしたんです。たった一ヶ月くらいなんですけど、いまもはっきりと風景を覚えているくらいすごく刺激を受けて」
初めて訪れたニュージーランドには、想像を絶する世界が広がっていた。広がる地平線と羊の群れ。雄大な自然に沈んでいく夕日が、ホームステイ先の部屋の窓から見えた。そんな光景を眺める野々村氏の胸の中にあったのは、今日も英語を話せなかったという悔しさだった。
「初日にホストファミリーがガスの使い方を教えてくれたんですけど、全く英語が理解できなくて。最初のそこから理解できなかったんですよ。彼らも一生懸命言ってくれて、絵とかも書いてくれるんだけど、それでも分からなくて。そしたら向こうも不安じゃないですか、この先一ヶ月この子を預からなきゃいけないと。それでお互い初日にぎくしゃくしたのをすごく覚えてて」
コミュニケーションを取れないことが何よりも悔しく、食事に呼ばれても寝たふりをして部屋から出ない日もあった。親切に対応してくれるホストファミリーの思いに応えることができず、最後までその壁を取り払えなかった。そのときの苦く悔しい思い出は、「次こそは」という思いとして野々村氏のなかに残った。以降、海外への思いは一層強くなり、この経験こそが原体験となった。
行動することで世界が広がり、経験が新たな自分を形作る。そこで見つけた世界へ向かう思いは、行動を加速させる。非日常の環境は、いつだって野々村氏にそんな生き方を教えてくれた。
2歳上の姉が高校を卒業して働き出したとき、その姿はとても楽しそうに見えた。少し前まで高校生という同じステージにいた姉が、自分でお金を稼ぎ、ほしいものを手にしている。自分もいち早く社会に出て働きたい。高校生のときの夢は、働くことだったと語る野々村氏。周囲の友達は卒業後進学するなか、一人就職する道を選んだ。憧れの世界が広がっているのに、ここにはもういられない。とにかく早く行動したかった。
「美容部員に憧れていたんですよね。本来は専門学校を卒業した人たちが受かるようなところなので、まず高卒だと絶対受からないだろうなって思っていたら、なぜか受かったんです。それからですね、私の社会人のスタートは。18歳からです」
誰よりも強い憧れへの熱意と、行動力が評価されたのかもしれない。大手百貨店の美容部員として働き出した野々村氏。しかし、初めて社会で働く経験であり、初めての仕事である。はじめのうちは礼儀や敬語など、社会人としての基礎をたたき込まれたという。
つらいこともあったが、美容が大好きだったからこそ、商品を売ることには自信をもっていた。お客様と接するうちに、どんな商品が求められているのか、既存の商品では解決できないお客様のリアルなニーズを満たすことができる商品とは何かを、考えるようになっていた。
「商品を売るってことに関してはすごく楽しくて、自信を持っていたんです。ただずっと化粧品を販売していると、作りたくなってくる。やっぱり販売員が一番お客様に接してるじゃないですか。だからお客様のニーズも分かるし、こういう商品があればいいのにって言っても上には届かない。販売員としての経験を活かして今度は化粧品の企画をしたいと思って、上京したんです」
どうしても形にしたいもの、実現したい世界があった。経験はなかったが行動せずにはいられない。福岡ではあまり求人のなかった化粧品の企画職を探すため、上京した。すぐには決まらず、生活のために別の仕事をしたりもしたが、1年後、当時化粧品企画を強化しようとしていたタイミングだったランジェリーブランドに入社することができた。
「企画が好きなんだと思います。こうなったらいいのに、こういうのがあったらいいんじゃないかということを考えることが、もともとすごく好き」
当時同社では、ドラッグストアでも買えるような汎用的な商品ではなく、自社ならではのとがった化粧品の企画が求められていた。女性のコンプレックスに思われがちな分野にまつわる商品をあえて販売するなど、特殊であるが確実にニーズのある商品を形にしていくことができた。求められるニーズを形にする。お客様一人一人と直に接することで培われた美容部員の時代の感覚が力となり行動に変わり、憧れが現実のものとなった。
高校時代に日常の一部だった海外旅行であったが、美容部員として就職してからはぱったりと行く機会がなくなっていた。再び海外に目が向いたのは、ランジェリーブランドに就職してからのことだという。
「その会社の社風がすごく素敵で、女の子たちがちゃんと仕事を休めて、海外旅行に行くような社風だったんです。そういう環境にいると自分も自然に行きだすようになって、そのときにこの『旅MUSE』の構想は、なんとなく自分のなかであったんです」
もともと起業するつもりだったわけではなかった。胸にあったのは、「もっとこんなメディアがあればいいのに」という思いだ。それがあれば、もっと旅を素敵な体験にすることができるはずだと信じていた。
「見たいと思う旅行メディアが無かったんです。ガイドブックは情報が詰まりすぎていて結局どこに行けばいいのか分からない。当時流行っていたまとめ系の記事は発信者の顔が見えない。一方で、ちゃんと信頼できるブログを書いている人はいるし、そういう人が旅の分野で集まって発信するメディアがあればいいのになっていう思いから、旅MUSEは始まっているんです」
信頼できる人のリアルな声を届ける。旅行に出かける前に安心して見ることができるメディアが必要だと信じていた。
思い立ったらすぐに行動する。ちょうど海外旅行でフィリピンのマニラを訪れていたとき、一緒にいた友人に構想を相談すると、好反応が返ってきた。帰国後も様々な人へ相談すると、同様の好反応をもらうことができ、そのまま企画書をまとめた。人脈もなかったので、マッチングアプリを活用し経営者に会い、直接企画をプレゼンした。そのなかで出会った経営者の一人が賛同してくれたことにより「旅MUSE」が誕生した。
「それまで普通にOLをしていて『よく起業したね』って言われるんです。特に29歳とか女性っていろいろと悩む時期だから。でも、そのときは本当に何も悩むことなく起業することができたんです。自信があったんですよ、絶対必要だろうと思って」
2014年、野々村氏の思いを形にするべく、バリーズ株式会社は創業された。身近なユーザーの声を聞いてきたからこそ実感した必要性。それを解決するため、世にない企画を形にしていく。経験や人脈がなくても、行動することで道は拓けていく。選択肢を広げてくれる世界や人との出会い、それを自らの手に引き寄せられるのは、自分の行動をおいてほかにない。
(出典:旅MUSEより)
楽観的に行動する現在の自分とは違い、もともとはネガティブな性格だったと語る野々村氏。キャリアを形成していく過程で厳しく落ち込む時期も多かったという。そんな自分を変えてくれたのは、20歳のとき、一冊の本との出会いだった。現状を打破するために行動しつづけたからこそ、巡り会えたのかもしれない。
「浅見帆帆子さんの『あなたは絶対!運がいい』という本で、スピリチュアルの先駆けみたいな本だと思うんですけど。それを読んだときに衝撃的で、しかも20歳だし脳みそもまだまだ柔らかいから、もう100%自分に入ってきて。脳みそがグルっと入れ替わった瞬間を覚えてるくらいだったんです」
本との出会いを大切にすることは、父が教えてくれていた。
「父からはずっと本は読みなさいと、いまだに言われます。『数は読まなくていい。自分にとって大切な本を、少なくていいから見つけていきなさい』と」
世に無いようなものを企画し、形にしていくからこそ、自分の思考が固まってしまうことは避けたい。そんなとき救ってくれるのは、本の存在だった。本は自分の内側にはない、新しい世界を見せてくれる。
「アグレッシブにチャレンジしている人とか、本当にばりばり成功している人とか、ちゃんとその人のプロセスが尊敬できる人の本が好きですね。社長さんが普段どういう生活をしているのかとか、仕事内容というよりも、その人たちの脳みその中が書いてある本が好きです。やっぱり、いろんな人たちの失敗とか経験を自分のなかに取り入れられるってことが、本のすごいところだと思うので」
一冊の本との出会いが、自分を変えてくれることがある。そこに綴られた成功者やプロフェッショナルのリアルな生き方が、行動の選択肢を広げてくれた。本が伝えてくれる人との出会いが、思いを形にし行動しつづけることを可能にしてくれた。
環境が変わると、普段は出会わないような人との出会いがあり、新たな選択肢をもたらしてくれる。過去には旅先で偶然知り合った人と、ビジネスの話に繋がったこともあるという野々村氏。日常生活では絶対に見ることのできない世界を見せてくれるのが旅であり、そこには多くの時間とお金を投資する価値があると語る。
「いいホテルに泊まることが好きなので、そのために仕事をがんばるんですね。あまり物欲とかはなくて、ブランド物の買い物とかもしなくなったんですけど、やっぱりホテルだけは絶対にこだわりたいので、憧れのホテルに泊まるためにがんばろうと。そういう環境に身を置くと、その環境なりの人たちが来ているから、彼らの行動一つ一つを見てもすごく勉強になるし、そういう場に身を置くって大事だなと思いますね」
数多くの旅を経験し、世界を見てきたことで自分の世界を広げてきた野々村氏。身をもって広がりゆく選択肢を手にすることができたからこそ、新たな環境への投資は価値あるものであると自信をもって言える。ありきたりなパッケージ化された旅ではなく、自分を変えてくれる大切な出会いを手にすることのできる旅を提供したい。そこでしか出会えない人や特別な体験がある、そんなツアー商品を企画販売したいと語る。
「旅をもっとクリエイティブにしたいんです。趣味や職業でテーマを設定して、なおかつオシャレな旅にする。その方が人を集められるのかなと。いかに安くお得な商品を提供できるかではなくて、そこのツアーに申し込まないと出会えない人とか、体験できないものとかっていう絶対的な付加価値がないと申し込む意味がないじゃないですか」
たとえば、女性のキャリアアップに役立つような旅はどうだろうかと、野々村氏は語る。ニューヨークで起業しているカリスマ経営者が、一週間の合宿で何かをたたき込んでくれるツアーがあれば、その特別な体験に投資したいと考える人もいるだろう。単純な価格競争ではなく、自分の選択肢を広げてくれる経験への投資として、旅の価値を創り出すことができる。
ファッション業界の女性にはロサンゼルスのバイヤーツアー、経営に携わる女性には海外のおしゃれなオフィスを見学するツアーを。旅はもっとクリエイティブになる。非日常の世界での出会いは、自らを変えてくれるだけでなく、さらに新たな選択肢を提示してくれることで、行動しつづける原動力にもなる。
「毎日繰り返すのが苦手なんでしょうね。逆に昔は化粧品の販売員を何年もつづけていたんですけど、そのときはたぶん選択肢がなかったからだと思うんです。一度失敗しちゃうと人生終わりって思っている人が多いのかなと思うんですけど、別の選択肢が自分のなかにあるから、アグレッシブにチャレンジできる」
行動するからこそ、選択肢が増える。選択肢が増えるからこそ、失敗が怖くなくなり、さらに行動できる。そんな良い循環を自分のなかにつくる。行動を起こすための環境は、自分で作ることができるのだ。
旅や本、身近で支えてくれる人たちとの出会い。世界を広げ、新たな選択肢をもたらしてくれるものの数々が、人生にとって重要な役目を担ってくれている。野々村氏は、女性にとって大切な行動のきっかけを提供し、誰もが行動できるようになる循環を生み出していく。
2018.03.22
文・引田有佳/Focus On編集部
活動的であることは人を豊かにする。
人の生活環境が加速度的に変化する現代。人々の未来は、より一層予想が難しくなっている。世の中を予測することはおろか、自分の人生を予測し、ぴったりそのとおりに人生が彩られるようなことはほとんどない。
仕事、プライベートを横断する「生きる道」は、変化の波にさらされている。だからこそ、その波の中での渡り方は重要度を増しているように思える。変化に適応する人とそうでない人では、今後の世の中において、より一層人生の豊かさに差異が生まれる可能性があるのではないだろうか。
そこでは、日々の生活を生きる上での活動態度も一つの要素であるように思える。日常接する変化の多い未知の世界に対して、活動的でアグレッシブに向かい、失敗と成功を積み重ねていくことは、現代人がよりよい人生を手にするための要素の一つであるようだ。
とりわけ、海外に出向くことは、日常の生活を越えた期待や興奮、同時に不安にさらされる。異文化という未知の世界、非日常の空間。普段の「自分」ではいられない状況が、海外渡航者の目の前に広がる。
だからこそ、海外渡航者は自らをその環境に適応させるべく、試行錯誤を重ねていく。その環境こそが海外に向かう人を、よりアグレッシブにさせるのではないだろうか。海外旅行は、私たちが現代を生き抜くために必要なことを教えくれるようだ。
情緒安定的であるほど,また,活動的であるほど,不快エピソードをポジティブに受け取る傾向が認められた.このように不快な過去経験を受け入れられることは,現在の自分自身を受け入れ,肯定的な自己像をもつことにもつながると予想された.パーソナリティタイプと自己受容の関係を分析したところ,情緒不安定性の主効果と活動性の主効果がともに認められ,情緒安定的であるほど,また,活動的であるほど自己受容できていた.
―南山大学人文学部心理人間学科教授 神谷 俊次 ・ お茶の水女子大学助教授 伊藤 美奈子
アグレッシブに、活動的に行動するパーソナリティであるからこそ、自己を受け入れられる。活動的である人ほど、ネガティブな過去の体験でさえ、ポジティブな出来事という認識に変え、克服し、それに対し適応可能な人間になるのだという。
アグレッシブであることは、選択肢を広げてくれる。野々村氏が教えてくれるこのメッセージは、単にアグレッシブであることが活動量を増やし、量的に多くの機会・選択肢を人の目の前に広げてくれるという意味をもつだけではない。アグレッシブであることは、その人が過去に手にした経験にさえ意味をもたらし、自己の生成にポジティブな影響を与え、人生を広げてくれるという、人が強く生きるためのメッセージなのである。
海外旅行における非日常の経験は、ある意味その訓練にもなる。非日常を経験し、普段得られない環境への適応を図るから、より自己を肯定し、社会への適応度の高い人間となる。だからこそ、日常の仕事に戻ったときも、あらゆる困難に立ち向かうことのできる人間になるのだろう。
海外旅行は人間生成の筋道なのである。
バリーズがもたらす世界への扉は、多くの女性の人生の選択肢を広げ、女性ひとりひとりの未来を強くさせるのであろう。
文・石川翔太/Focus On編集部
※参考
神谷俊次・伊藤美奈子(2000)「自伝的記憶のパーソナリティ特性による分析」,『心理学研究』71(2),公益社団法人日本心理学会,< https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy1926/71/2/71_2_96/_pdf >(参照2018-3-21).
バリーズ株式会社 野々村菜美
代表取締役社長
福岡県出身。外資系化粧品の販売員として、店舗でのB to Cビジネスにおける営業企画、販売促進、MD計画などの業務を経験する。その後、ランジェリーブランドの商品企画部にて、コスメブランドの立ち上げに携わり、オリジナル商品開発、買い付け、カタログの紙面構成、エディトリアル全般を担当。趣味である旅行領域にビジネスシーズを見出し、2014年6月「旅MUSE」を事業化するべく独立。2017年7月には「旅MUSE」初の書籍となる「MY TRAVEL RECIPE –私らしい旅のつくり方-(光文社)」を出版。